地球は沸騰し始めた。
日本は7月~9月までの3か月間、昼夜逆転のサマータイムを導入するため、その干渉期間となるゴールデンウィークとシルバーウィークの日程を調整を検討している。
ヒロもその会議に出席している。
午後3時。
テーブルの上にコンビニで買い求めてきたおにぎりと手巻き寿司が20~30雑に積み上げられ、ガス入りミネラルウォーターを握りしめた有識者たちが遅い昼飯を得ている。
ヒロ、君は全知全能なのかい?
分野を問わず、重要な会議には必ず君の名がある。
誰がやるべきか適切なアイディアがないとき、そんなときにとりあえず呼ばれているだけさ。
君は謙遜がうまい。
全知全能と言えば有名な逆説があったね、君ならどうこたえる?
全能者は重すぎて何者にも持ち上げられない石を作ることができる、まったく可能だ。
そして同時に、全能者はすべての石を持ち上げることができる、同様にまったく可能だ。
人はそれを矛盾していると結論付ける、なんの不思議もない。
矛盾が解決していないじゃないか。
ああ、人間は彼らの論理学が不完全であることが証拠に、その二つのうち片方しか認識し正であると判定できない。
理解しにくいね、それを理解するには、なんらかの跳躍が必要ということかな。
共通の認識を得て絶対多数を形成しようという過程で、誤りが混入した。
だから、もし理解したいならば孤独を恐れなければいい。
真実を受け入れたものは、みなそうしてきた。
利害を共有するとき、全知全能の人類にとっては無限の側面のうち、その集団にとって都合の良い側面だけをもって唯一とする。
全知全能が故、どうにでも解釈できるのにだ。
さぁ、そこの二人、言葉遊びはそこまでだ。
いつもは趣味のbonsaiの話をしているじゃないか。
ヒロがマジレスしたのが悪い。
おだて甲斐のない奴だ。